プロが教える、お墓周りの景観デザイン
お墓の周りのデザインは、安らぎと癒しの空間作りが目的です。
石材は、永遠性、耐久性、重圧感があり、
直線、曲線の加工も自由にできます。
まず、デザインする際に気を付けるポイントを2つ示しておきます。
- 故人や遺族の想いを表現する
お墓の周りの景観は、故人や遺族の思いを
表現する大切な場所です。
石材とのバランスを考え、植物を植えたり、
石材を利用して故人の好きだった
モニュメントを設置し、
故人の思い出の場所を再現することで、
故人の存在を近くに感じることができます。 - 参拝する人の心を和らげる
お墓は故人の想いを静かに追悼する
場所です。
そのため、参拝する人の心を和らげるような
景観を整えることが大切です。
自分の土地を墓地にする場合は、
ゆったりとした空間を確保し、
自然の風景や静かな音を取り入れると良いでしょう。
また、参拝者が座って休憩できる
ベンチを設置するのもおすすめです。
ベンチは、お供え物や線香等の
お供え準備台としても使用できます。
具体的なデザインとしては、
以下のような方法があります。
- 自然を取り入れた景観
自然の草花や木々を借景とすることで、
安らぎと癒しの空間を演出することができます。
ただし、維持管理と掃除の観点から、
お墓の周りに植える植物には注意が必要です。
適している植物は、
「へんだら」(ひさかき)や「つつじ」などで、
あまり大きくならないようにします。
また、竹や笹などは繁殖力が強く、
管理が難しいため避けるべきです。
- 現代的なデザイン
石材を自由に活用し、
モダンなデザインに仕上げたり、
故人が好きだった動物や愛用していた物品の
石のモニュメントの設置もあります。
直接的なラインやシンプルなデザインが、
故人の個性や遺族の想いを表現するのに
適しています。
- 宗教的な要素を取り入れた景観
仏教やキリスト教などの宗教的な要素を
取り入れることで、
故人の信仰を表現することができます。
また、梵字(仏教で使用の古い文字)や
経典の一部、十字架など
宗教的なモチーフやシンボルをデザインに盛り込むことで、
参拝者の心を落ち着かせることができます。
お墓のデザインは、専門の業者に
依頼することもできます。
業者に依頼する場合は、予算や希望を
しっかりと伝え、
納得のいくデザインを実現しましょう。
お墓をきれいに維持する方法
お墓を美しく保つことにより、
神聖な気持ちでお参りをすることができます。
逆に掃除をせず放っておいてしまうと、
汚れが付いたり雑草がたくさん生えてしまったりなど、
次の掃除をする際の手間が何倍にもかかってしまいます。
また、お参りに来た家族や親類に対して
不快感を与えてしまうかもしれません。
そうならないためにも、
定期的なお掃除とお手入れが必要です。
今回は、お手入れの方法、維持のためにかかる費用
を紹介します。
お手入れの方法
最初に、墓石全体を見て、表面の汚れたヶ所や状態を確認します。
〈枯葉が表面に張り付いている場合〉
水を含ませたスポンジで、葉を「ふやかして」
拭き取ります。
〈文字彫の文字の中に、
土の塊など汚れが入っている場合〉
使用済みの歯ブラシに水を付け、
こすって取り出します。
〈水あか等の黒ズミが、
石と石の接合面に付着している場合〉
歯ブラシを使用します。
取り除きが不十分なときは、
台所用の中性洗剤を使用します。
その場合、最後には十分に水洗いをし、
洗剤を洗い流します。
やっかいなのは、鳥のフンの付着です。
石の表面についている分は、有機溶剤で
素早く拭き取ります。
しかし、石の中までしみ込んでいるものは、
ふつうの方法では除去が難しく、
中にしみ込むまでに処理するのが重要です。
このように、清掃は、上から下へ水洗いをするのが基本です。
雑草の処理は、雨の翌日が草が抜きやすく、
理想です。
小さな釜のようなものを使用し、根元部分を掘り、
できるだけ根元から抜き取ります。
その時の手袋は軍手や洗い物仕様の手袋ではなく、
背抜きのゴム手袋が、手にも雑草にも密着して
抜き取りやすいです。
また、お供え物は、鳥が来る前に
持ち帰るようにしましょう。
お墓の管理は、霊園管理者だけでなく
遺族もしっかりと行うことが、
故人を思い出す重要な時間となります。
お墓の維持費用
ずばり、年間で5000円から2万円程度が
相場です。
管理費用は使用者が出し合うもので、
霊園・墓地の共有スペース・施設の維持管理費に
使われます。
各自の区画・墓石の掃除や手入れについては、
それぞれの使用者が行います。
墓石のクリーニング、メンテナンスにかかる
料金は、一般的に1万円から5万円程度が相場です。
また、檀家としての寄付金や寺院によって
異なる管理費などもあります。
最後に
このように、お墓をきれいに保つには
定期的なお掃除とお手入れが必要になります。
また、その維持には費用も掛かるので、
お墓を立てる際には、維持費用も考慮して
予算を立てることが大切です。